陶芸家と作品

Ceramist / Works

二百余年続く美への探究

当窯の歴代当主は、陶芸家として美を生み出すため、常に新しいものを追い求め、試行錯誤し、挑戦し続けてまいりました。
その実績は国内のみならず、海外でも高い評価をいただき、窯の誇りとして蓄積しております。
卓越した技術と美への探求心。
当主の創造力こそが窯元の理念であり、それは純粋に、濃厚に、継承されております。

初代〜四代 加藤幸兵衛

初代は、幕末の文化元年に美濃国市之倉郷字沢にて開窯。
登窯にて染付食器を制作し、まもなく江戸城本丸と西御丸の御用窯となりました。

二代は、流麗精緻な染付の優品を残しています。

三代は、中国宣徳染付の研究に没頭しました。

四代は、名人気質と謳われ、近代的な染付も制作しておりました。

五代 加藤幸兵衛

五代 加藤幸兵衛

青磁、天目、染付、赤絵、金襴手など中国陶磁をはじめ、乾山、李朝など幅広い技法を駆使し、昭和48年に岐阜県重要無形文化財の認定を受ける。現在の幸兵衛窯の礎を築き上げた中興の祖。また岐阜県陶磁器試験場長を23年間務め、技術開発や後進育成に取り組んだ「美濃焼の父」。

1893年 四代加藤幸兵衛の長男として生まれる
1909年 家業の幸兵衛窯を引き継ぐ
1928年 これより宮内省より食器、装飾品の御用命を受ける
1931年 第11回帝展に初入選
1948年 パリ万博に出品
1950年 岐阜県陶磁器試験場長に就任(在任23年)
1956年 日本工芸会正会員となる
1960年 アメリカ・ニューヨークにて個展
1973年 岐阜県重要無形文化財に認定される
多治見市名誉市民の称号を受ける
1974年 日本工芸会理事に就任。
1982年 永眠

六代 加藤卓男国指定重要無形文化財保持者 (人間国宝)

六代 加藤卓男

古代ペルシア陶器に魅了され、長年の発掘研究を経て、幻の名陶ラスター彩の復元に成功し、青釉、三彩、ペルシア色絵など、ペルシアと日本文化の融合した作品を発表する。
宮内庁より正倉院三彩の復元制作を委嘱され、9年に及ぶ研究の末、「三彩鼓胴」「二彩鉢」を納入。
平成7年に国指定重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。

1917年 五代加藤幸兵衛の長男として生まれる。
1961年 フィンランド工芸美術学校修了。
1963年 第6回日展で特選北斗賞受賞。
1973年 イラン・パーレヴィ王立大学付属アジア研究所留学
     およびペルシア古陶発掘調査に参加。
1980年 宮内庁より正倉院三彩の復元制作を委嘱される。
1983年 岐阜県重要無形文化財に認定される。
1986年 トルコ・トプカプ宮殿美術館にて個展。
1988年 紫綬褒章受章。
1992年 伊勢神宮の御神宝「陶猿頭形御硯」を制作。
1995年 国指定重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。
1996年 岐阜県名誉県民の称号を受ける。
2005年 永眠。

著書
「ラスター彩陶」 小学館
「美濃の陶華」 淡交社
「織部の文様」 光村推古書院
「美濃」 保育社
「ペルシア陶器」 保育社
「三彩の道」 学生社
「やきもののシルクロード」 中日新聞社
「ラスター彩遊記・砂漠が誘う」 日本経済新聞社

七代 加藤幸兵衛

七代 加藤幸兵衛

人間の根源と本質をテーマに立体作品を制作し、日展、朝日陶芸展でそれぞれ最高賞を受賞するなど、高い評価を受ける。
近年は、加藤卓男のペルシア陶技を継承し、現代感覚溢れる作品を制作している。
またラスター彩を通じたイランとの国際文化交流にも力を入れている。

1945年 加藤卓男の長男として生まれる
1975年 朝日陶芸展最高賞受賞(2回目)
1981年 日展特選受賞(2回目)
1987年 日展審査員に就任(以後3回)
1991年 日本新工芸家連盟理事に就任
1995年 七代加藤幸兵衛を襲名
2000年 日展評議員に就任
2006年 父卓男の逝去に伴い三彩やペルシア陶技の継承を決意し、日展を退会
2007年 ロシア・エルミタージュ美術館にて個展
2009年 ハンガリー・ヘレンド美術館、ブダペスト歴史博物館にて個展
2013年 イラン国立博物館にて「大ラスター彩展」を開催
2014年 外務大臣表彰を受章
2016年 地域文化功労者表彰を受章
2019年 イラン国立レザアバスィ美術館に七代加藤幸兵衛作品室が設置される

現在 多治見市無形文化財保持者(三彩)
(公社)日本工芸会正会員
(公社)日本新工芸家連盟顧問
(公社)美濃陶芸協会元会長

八代 加藤亮太郎

七代 加藤幸兵衛

美濃桃山陶の伝統に正面から立ち向かい、自ら窯を築き、穴窯焼成の志野、引出黒、織部、黄瀬戸など、特に茶碗の制作に力を入れる。
また書と陶が融合した作品や、異素材とのコラボレーションも積極的に手掛ける。
これからの美濃を牽引すると期待される存在。

1974年 七代加藤幸兵衛の長男として生まれる
2000年 京都市立芸術大学大学院陶磁器専攻修了
2001年 家業の幸兵衛窯に入る
2002年 倒焔式窯を自ら築く
2007年 個展(松坂屋名古屋店)’10、’13、’16、’19
2008年 個展(画廊光芳堂)’12、’17、’20
2009年 個展(大阪髙島屋)’12、’15 、’19
2010年 個展(しぶや黒田陶苑)’11、’13、’15、’17 、’19
2012年 個展(日本橋髙島屋)’15、’18
    越後妻有アートトリエンナーレ
    ミノセラミックスナウ(岐阜県現代陶芸美術館)
2014年 パラミタ陶芸大賞展(パラミタミュージアム)
2015年 和美茶美展(染清流館)
    幸兵衛窯 八代目を継承
2016年 幸兵衛窯歴代展(古川美術館)
    父子展(日本橋三越)’20
    PANK工芸(樂翠亭美術館、茨城県陶芸美術館)
2017年 引出用穴窯を築く
2018年 天然黒ぐろ(INAXライブミュージアム)
    志野三昧(岐阜県美術館)
    CASA GIFU Ⅲ(Miran Salone,Itary)
    融合する工芸(銀座和光)
    興福寺中金堂落慶法要にて千宗屋師による献茶道具として奈良三彩天目を制作
2019年 個展+茶会(Goldmark Gallery,UK)
    幸兵衛窯歴代展(とうしん美濃陶芸美術館)
    茶〜祈りと楽しみ(古川美術館)
2020年 個展(東京アメリカンクラブ フレデリックハリスギャラリー)
    個展(ガレリア織部)